寒天の効用
寒天=食物繊維
寒天はそのほとんどが食物繊維で、100g中80.9gとあらゆる食品のなかで食物繊維を一番多く含んでいます。しかも、この食物繊維はなめらかでおいしい食品そのものなのです。日本薬局方のカンテンの項には「粘滑薬又は、包摂薬として、慢性便秘に水に溶かすか粉末として服用するか、あるいは配合剤として用いる…」とあります。
寒天に緩下作用、整腸作用があることは、すでにある程度知られていたところです。食物繊維が注目され、その研究が進むにつれ寒天の効用はさらに明らかになってきました。
食物繊維って何!?
繊維というと布の繊維のことがすぐ頭に浮かび、筋のことを想像しがちです。しかし、食物繊維含有率を見てもごぼうやセロリなど筋っぽいといわれる野菜は姿を見せず、およそ筋とは無縁のような寒天がトップと、意外な結果になっています。
英国のトローウェル博士が食物繊維を「人間の消化酵素で消化されない植物細胞の構造物質」と定義し、以来、日本も含めて食物繊維の研究が活発化しました。「食物中の生理活性を有する難消化性高分子化合物」というのが、食物繊維の定義です。日本でも光岡知足東大名誉教授が繊維が大腸ガンや肝臓ガンの発生率を抑制する実験結果 を発表し、大きな反響を呼びました。
食物繊維は、俗に言う「血となり肉となる栄養素」ではないので、はじめは「非栄養素」とよばれていましたが、食物繊維には他の栄養素にない重要な生理機能があることで「第6の栄養素」と呼ばれています。
血圧を下げる
食物繊維が、血圧の上昇を抑えたというデータは、動物実験でも人間に対するものでも幾つか出ています。この結果、食物繊維は腸内で脂肪吸収を妨害し、いっしょに排泄するからだろうと考えられています。海藻類に多く含まれている食物繊維には、特に血圧降下作用、コレステロール低下作用があることが明らかになっています。
コレステロールを低下させる
動脈硬化を進行させる最大の因子は、血液中のコレステロール量の増加です。その予防のためには、善玉コレステロールが増え、悪玉 が減ることが理想的とされています。
実験で「寒天」などの水溶性多糖類には悪玉コレステロールを減らし、善玉の降下を抑制する効果のあることがわかりました。水溶性多糖類は、腸内でねばねばした状態になるので、胆汁酸が腸壁まで到達することを妨害します。胆汁酸は脂質の消化を助ける主成分なのですが、使われても腸壁から吸収されて肝臓でリサイクルされます。しかし、水溶性多糖類が吸収を妨害していますので、胆汁酸は肝臓で作らなければなりません。その胆汁酸の成分の原料はコレステロールなのです。
つまり、新しい胆汁酸を合成するために体内のコレステロールがそれだけ少なくなるというわけです。
血糖値を下げる
食物繊維を多くとるようにすると、胃がその内容物を腸へ送りだすスピードが遅くなります。そのため、腸壁からの糖質吸収にも時間がかかり血糖値の上昇も緩やかになるわけです。
糖尿病はインシュリンの分泌障害によって食物としてとり入れた糖質の体内利用がうまくいかず血糖値が異常に高くなる病気です。食物繊維が血糖値の上昇を抑えていますので、インシュリンの分泌が少ない人でも充分糖質を分解させることができるわけです。
肥満を防ぎ、便秘を解消
食物繊維そのものはノーカロリーですから、いくら食べても太り過ぎの心配はありません。しかも、食物繊維には吸水力があり水分を吸うとかさが増えますので、 少量でも満腹感が得られます。また、糖質の吸収に時間がかかるので満腹感が長持ちするというメリットもあるのです。
食物繊維は、大腸内で水分を吸うと膨張して便のかさを増し、柔らかくします。 このような便が腸壁を刺激し、排便が楽になります。当然、柔らかい便は痔の予防にもなります。
寒天の生理機能
寒天は水を抱え込む作用が特に強く、実に乾物量の250倍もの水を固めてしまいます。この水を抱え込んだ寒天ゼリーが消化器官を通過する段階で、水は徐々に体内に吸収され、大腸では水分が便をやわらかく保ち、排せつ時間が短縮され、自然なお通じを促します。
また、コレステロールを減少する力もあります。食事からの余分なコレステロールは、寒天によって体外に排出されます。このように吸水力が高くコレステロールの減少にも役立つ寒天はもっともっと食べて欲しい食品のひとつです。